新NISAがはじまり、人気のS&P500に投資をしている人は少なくないでしょう。
さらに余裕資金を使ってS&P500に追加投資したいと考えている方にはS&P500のPERを調べることをおすすめします。
PER(株価収益率)は株価の割安・割高を判断する重要な指標の一つです。
PERを理解し、適切に利用することで、買い増しタイミングを決めやすくなるでしょう。
本記事では、初心者でも簡単にS&P500のPERを調べる方法を解説します。
新NISAでS&P500に投資していて、買い増ししたい。
投資タイミングはいつがいいの?
最適な投資タイミングはだれにもわからないのが前提だけど、PERを使えば現在のS&P500が割高か割安か判断できるよ。PERの調べ方を解説するね。
この記事の前半部分では「PERの概要」、「S&P500のPERの目安」を解説、後半部分では「PERの調べ方」、「PERを活用する際の注意点」を紹介します。
この記事を読めば、S&P500のPERを調べるようになり、買い増しタイミングを判断する1つの指標ができるよ。
これから、具体的な調べ方と活用法について見ていきましょう。
私は2019年からNISAを取り組み、
現在、1000万以上の投資を行っています。
下画像の通り、S&P500の投資をメインに行なっています。
今回はS&P500のPERの調べ方を紹介します。
PER(株価収益率)とは?
PER(株価収益率)は投資判断において株価の「割高」・「割安」を判断する非常に有用な指標の1つです。
ここではPERの概要と活用法を紹介します。
PERの概要
PERは、企業の株価がその利益に対してどの程度の価値があるかを示す指標です。
具体的には、「株価 ÷ 1株当たり利益(EPS: Earnings Per Share)」で計算され、一般的には企業の収益力と市場評価のバランスを示します。
具体的には、次のように計算されます:
PER = 株価/1株あたり純利益(EPS)
例えば、PERが20の場合、その企業の株価は1株当たり利益の20倍に相当します。
一般的に、PERが高ければ株価が「割高」とされ、低ければ「割安」とされます。
予想PERと実績PER
PERを調べる時の注意点としてPERには以下の2種類があるということです。
- 予想PER 英語訳:Forward P/E Ratio
- 実績PER 英語訳:Trailing 12-Month P/E Ratio (TTM P/E)
予想PER
1つ目は予想PERです。英語訳はForward P/E Ratioになります。
予想PERは、予測される将来12ヶ月の利益に基づくPERです。
アナリストの予測を基にしているため、企業の将来の収益力に対する市場の期待を反映しています。
実績PER
2つ目は実績PERです。英語訳はTrailing 12-Month P/E Ratio (TTM P/E)になります。
実績PERは、過去12ヶ月のEPSに基づくPERです。EPSは過去4四半期に報告されたEPSの合計を指します。
実際に報告された利益を元に計算されるため、現在の株価に対する過去の業績の評価を反映しています。
予想PERと実績PERはどちらをみればよいか?
株の購入においては将来予想される収益性が非常に重要であることを考えると、実績PERより予想PERが有用です。
基本的には予想PERをみて、割安か割高かを判断するのがいいでしょう。
ただし、実績PERも参考にみておいた方がよいです。
実績PERは、予想PERと比較する基準としても役立ちます。実績PERと予想PERの乖離が大きい場合、それは市場が将来の利益に対して非常に楽観的または悲観的であることを示す可能性があります。これにより、投資家は市場の期待と実際の業績とのギャップを評価できます。
S&P500のPERの目安
S&P500が割安か割高かを判断する場合にPERを使用するといいましたが、PERの目安がないと判断できませんね。
目安のPERは、過去のS&P500のPEEの推移から求めた平均値を採用するといいでしょう。
以下のグラフが過去10年のS&P500の予想PER推移になります。
S&P500の平均予想PER(2024.06.14)
5年平均:19.2倍
10年平均:17.8倍
これらの平均値を基準に、現在のPERが上記の数字を下回っている場合は割安と考えることができます。一方、これを上回っている場合は、割高と判断する材料になります。
2024年6月現在のS&P500の予想PERは22.2倍程度なのでPERでの判断では「割高」と判断します。
S&P500のPERを調べる方法
S&P500のPERを調べるおすすめの方法を4つ紹介します。
- WSJ(ウォール・ストリートジャーナル)
- Multpul
- FactSet
- Yahoo Finance
「WSJ(ウォール・ストリートジャーナル)」を利用する
S&P500の現在の予想PERを調べるのに1番簡単な方法はウォール・ストリートジャーナルを利用することです。
リンク先のページは以下の通りです。赤枠の箇所がS&P500の予想PERになります。
毎週金曜日に更新されます。
また実績PERも合わせて確認でき、さらにダウ平均やナスダック100などのPERも合わせて確認できます。
「multpul」を利用する
「multpul」は実績PERを確認できるサイトです。
また現在の実績PERだけでなく、長期的な実績PERの推移を確認できます。
具体的な確認手順は以下の通りです。
①「 multpul」にアクセスする。
②「S&P500 PE Ratio」をクリック
以下のように1日から全期間のPER推移を確認できます。
「multpul」の特徴は以下の通り。
「FactSet」を利用する
FactSetが毎週提供しているレポートを見れば、予想PERと実績PERの10年間の推移を見ることができます。またPERの過去5年平均と過去10年平均を算出してくれています。
FactSetを利用するには以下の手順を参考にしてください。
① FactSetにアクセスし、左上の3本線をクリック
②「INSIGHTS」をクリック
③「Earnings」をクリック
④全ての記事が金曜日にポストされているかと思います。どの記事でもいいので、記事タイトルをクリック
記事の概要の下に以下のダウンロードの帯がでてくるので「Download」をクリック
S&P500に関する詳細なレポートがダウンロードできます。そのレポートの中に以下のような予想PERと実績PERの10年推移を確認できます。
※週によってはPERのグラフが載っていないレポートもありましたので載ってない場合は来週まで待ちましょう。また過去のレポートは見れないようです。
○予想PER↓
○実績PER↓
上記のPER推移をみれば、現在のS&P500の株価が割高か割安かの1つの指標になるでしょう。
「FactSet」の特徴は以下の通り。
「Yahoo Finance」を利用する
「Yahoo Finance」は、S&P500の実績PERを簡単に確認できる便利なサイトです。
以下の手順で調べることができます。
①Yahoo Financeのサイトにアクセスします。
②検索バーに「VOO」と入力する。(VOOはS&P500に連動するETFのこと。)
③ページに表示される情報の中に「PE Ratio (TTM)」という項目があります。
これがVOOの現在の実績PERです。
Yahoo Financeの特徴は以下の通り。
PERを活用する際の注意点と対策
PER(株価収益率)は投資判断において非常に有用な指標ですが、これを活用する際には注意点があります。
以下に、PERを活用する際の注意点とその対策を紹介します。
注意点: ショック相場でのPERの機能不全
PERはショック相場では正しく機能しないことがあります。例えば、リーマンショックやコロナショックのような大きな市場変動が起きた場合、企業の利益が急激に減少し、PERが一時的に急騰することがあります。
例えば、コロナショックが起きた2020年3月にはPERが大きく下落し、割安となりましたが、4月末には企業のEPSが下落したため、PERが大きく上昇し、PERだけみると割高と判断されました。
しかし、下の株価チャートの通り、2020年4月末の株価は割安であり、結果論としては最高の買い場であったことは間違いありません。
このようにショック相場ではPERだけで株価が割安か割高かは判断ができません。
ショック相場では以下の対策をすることをおすすめします。
対策1. VIX指数を併用する。
対策2. シラーPERを併用する。
対策1:VIX指数を併用する。
VIX指数: 市場のボラティリティ(変動性)を示す指標で、恐怖指数とも呼ばれます。高い数値は市場の不安を示し、投資のリスクが高いことを示します。
VIX指数はGoogle検索で「VIX」と検索すればでてきます。
市場が不安を示している時こそ、絶好の買い場です。他の人が弱気になっている時は強気で、強気になっている時は慎重にいきましょう。
一般にVIX指数が30を超えると買い場であると言われています。
下のVIX指数のチャートを見ると2020年4月末(データは5月1日)はS&P500の株価は割安で買い場であると判断できます。
対策2:超過CAPE利回りを併用する。
もう一つの指標として超過CAPE利回り(Excess CAPE Yield)があげられます。
超過CAPE利回りはYChartで調べることができます。
超過CAPE利回りは株価に重要なファクターである「金利」をPERに取り入れた指標になります。
一般に金利が低下すると株価上昇の追い風になります。これは企業がお金を借りやすくなり、事業がやりやすくなるからです。
この「金利」を考慮しないと株価が割安かどうかは判断ができないのです。
覚えなくていいですが、超過CAPE利回りは以下の計算式で計算できます。
超過CAPE利回り=(1/CAPEレシオ)-10年物国債実質利回り
CAPEレシオは過去10年間の平均実質利益を用いて計算されるため、短期的な変動を平準化し、長期的な視点から株価を評価することができます。
超過CAPE利回りが高い=割安、低い=割高となります。また目安としては過去60年の平均値である3.5%がいいかと思います。
それではコロナショックから1ヶ月後の2020年4月末の超過CAPE利回りをみてみましょう。
下のチャートの通り、2020年4月末の超過CAPE利回りは4.83%と3.5%より高いので割安と判断されます。
まとめ
以上、「PERの概要」や「PERの調べ方」等をまとめました。
最後にこの記事で紹介した内容をおさらいしましょう!
- PER = 株価/1株あたり純利益(EPS)、PERが高ければ株価が「割高」とされ、低ければ「割安」
- PERには予想PERと実績PERがある。株の購入においては将来予想される収益性が非常に重要であることを考えると、実績PERより予想PERが有用。
- S&P500の平均予想PERは10年平均:17.8倍である。これより低ければ株価は「割安」と判断できる。
- PERを調べるには以下のサイトを利用すると良い。
WSJ:予想PERを調べることができる。
multpul:実績PERを調べることができる。
FactSet:予想PERと実績PERの平均を調べることができる。
Yahoo Finance:個別銘柄やETFの実績PERを調べることができる。 - ショック相場ではPERが正しく機能しない場合がある。その際はVIX指数や超過CAPE利回りなど他の指標を併用すること。
PER(株価収益率)は、投資家にとって非常に有用な指標であり、株価が割安か割高かを判断する際の重要なツールです。この記事では、PERについての基本的な概念、目安、調べ方、注意点と対策について詳しく解説しました。
しかし、注意点で記載した通り、PERへの過度な信頼は禁物です。 PERはあくまで一つの指標であり、他の指標と併用することが重要です。
また最適な投資タイミングはだれにもわからないのが前提です。
初心者を含めほとんどの方にはドルコスト平均法を使用した毎月つみたてをおすすめしております。
余裕資金がある方のみ今回紹介したPERを活用して投資してみましょう。
PERを適切に活用することで、S&P500への投資判断をより精度の高いものにすることができます。ぜひ、この記事で紹介したツールやリソースを活用し、実際の投資活動に役立ててください。今後も継続して情報を収集し、知識をアップデートすることで、より良い投資成果を目指しましょう。
最後に、この記事で紹介したS&P500のPERについて興味を持った方はS&P500に投資しているか、投資しようか迷っている人だと思います。
そんな方には過去に「S&P500の年平均利回り」の記事を書いているのでぜひ読んでみてください。
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