2024年から新NISAが始まり、「オルカン」こと「eMAXIS Slim オールカントリー」が各証券会社の投資信託ランキングで常に1位を獲得しており、大人気です。
しかし、実のところ、自分が投資している「オルカン」の年平均利回りについて知らない人が多いのでは?
自分が投資している商品について理解が足りないと暴落や不況がきた時に不安になり狼狽売りしてしまいます。
インデックス投資で重要な相場から降りず、長期で居続けることができなくなってしまうのです。
今回はオルカンの年平均利回りについての記事になっています。
オルカンの年平均利回りって5%くらい?人気だからなんとなく投資してみたよ。
オルカンの年平均利回りを答えられる人って意外と少ないよね。
この記事で詳しく解説するね!
この記事の前半部分では「オルカンの平均利回り」を解説、後半部分では「S&P500との比較」を紹介します。
この記事を読めば、自分が投資しているオルカンの中身がわかるようになり、より投資握力(狼狽売りしない力)が高まりますよ。
私は2019年からNISAを取り組み、
現在、1000万以上の投資を行っています。
下画像の通り、オルカンへの投資もしております。
今回はオルカンの平均利回りを紹介します。
オルカンの概要
まずはオルカンの概要について解説します。
オルカンとは
オルカンとは
三菱UFJアセットマネジメントが運用している投資信託の1つで
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の略語
概要は以下の通り。
オルカン | |
---|---|
正式名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
ベンチマーク | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス (配当込み、円換算ベース) |
純資産額(2024/4/24時点) | 3兆750億円 |
信託報酬率 | 0.05775% |
ベンチマークは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」で先進国23カ国と新興国23カ国の大型株、中型株で構成された指数です。
オルカンはこのACWIの配当込み、円換算ベースに連動した投資成果を目指して運用しています。
新NISAが始まったこともあり、純資産額は3兆円を超え、売れに売れているファンドになります。
人気の理由は「世界分散投資ができること」と「0.5775%という信託報酬の安さ」にあると思います。
オルカンの国別構成比率
オルカンの国別構成比率は以下の通り。
オルカンは全世界に分散投資しているのですが、アメリカだけで62.3%ということで、ほとんどアメリカに投資しているというのがわかりますね。
Q:なぜこのような比率となるのか?
A:オルカンは時価総額加重平均を採用しているから。
時価総額加重平均とは時価総額が大きい企業に多く投資する仕組みのことです。
例えば世界の時価総額ランキングを見てみましょう。
上の表の通り、ランキング上位のほとんどが米国企業であり、S&P500の時価総額のほとんどを占めているため、時価総額加重平均を採用している「オルカン」では米国の比率が大きくなります。
オルカンの年平均利回り
では、オルカンの過去の年平均利回りはどれくらいなのでしょうか。
1988年から2023年までのACWI(配当込み、円換算)データを使用して計算してみました。(データ出典元:myINDEX https://myindex.jp/data_i.php?q=MS1025JPY)
オルカン
20年間の年平均利回り:6.42%
30年間の年平均利回り:7.55%
私自身も勉強していない頃はオルカンの年平均利回りって5%くらいのイメージでしたが、計算してみるとわかるように約7%もあるのです。
上記の年平均利回りが何を意味するのか。これから詳しく解説します。
【オルカン】20年間の年平均利回り
オルカンの20年間の年平均利回りの計算方法は以下の通り。
・1988年〜2023年(36年間)の年利回りデータを採取
・投資開始年を1988年から2004年まで変え、20年間の年平均利回りを計算
(※投資開始年が1988年であれば1988年〜2007年の20年間の年平均利回り)
・投資開始年を変えた各20年間年平均利回りの平均を計算
投資開始年1988年〜2004年の20年間投資利回りは以下のグラフの通り。
年平均利回りのグラフを見てわかるように投資開始年によって年平均利回りにばらつきがあることがわかります。
20年間の年平均利回りは最高9.7%から最低3.7%とかなりばらついてますね。
このばらつきの平均をとると6.42%となります。
これはオルカンの価格が綺麗な右肩上がりではなく、プラスとマイナスの凸凹なグラフとなりながらも右肩上がりに上がってきたことを示しています。
【オルカン】30年間の年平均利回り
オルカンの30年間の年平均利回りの計算方法は以下の通り。
・1988年〜2023年(36年間)の年利回りデータを採取
・投資開始年を1988年から1994年まで変え、30年間の年平均利回りを計算
(※投資開始年が1988年であれば1988年〜2017年の30年間の年平均利回り)
・投資開始年を変えた各30年間年平均利回りの平均を計算
投資開始年1988年〜1994年の30年間投資利回りは以下のグラフの通り。
30年間のグラフは20年間のグラフとは違い、あまりばらつきがありません。
どの年から投資をはじめても6〜8%程度の年平均利回りとなってます。
このばらつきの平均をとると7.55%となります。
投資歴が長いほど、年平均利回りが、再現性高く、プラス方向に働くのを再確認できた気がします。
オルカンの平均利回り S&P500と比べてみた
オルカンの30年間の年平均利回りは7.55%ということがわかりましたが、この利回りはオルカンとよく比較されるS&P500と比べてどうなのでしょうか?
よく言われることですが、過去の利回りはオルカンよりS&P500のほうがよいという前情報があります。どれくらいちがうのか計算してみました。
S&P500(配当込み、円換算)の1961年から2023年のデータを用いてオルカンと同様な計算で計算した結果は以下の通り。(データ出典元:myINDEX https://myindex.jp/data_i.php?q=SP1001JPY)
S&P500
20年間の年平均利回り:7.95%
30年間の年平均利回り:8.39%
前情報通り、オルカンの年平均利回りを上回りました。
オルカンと比較する前にS&P500の計算結果について詳しく見てみましょう。
【S&P500】20年間の年平均利回り
S&P500の20年間の年平均利回りの計算方法は以下の通り。
・1961年〜2023年(63年間)の年利回りデータを採取
・投資開始年を1961年から2004年まで変え、20年間の年平均利回りを計算
・投資開始年を変えた各20年間年平均利回りの平均を計算
投資開始年1961年〜2004年の20年間投資利回りは以下のグラフの通り。
オルカンのデータは36年間でしたが、S&P500のデータはさらに長い63年間のデータを使用しました。
長期データを使用しているからということもありますが、S&P500のほうがオルカンよりも投資開始年によって年平均利回りにばらつきがあることがわかります。
20年間の年平均利回りは最高14.6%から最低3.4%とばらつきが大きいです。
このばらつきの平均をとると7.95%となります。
【S&P500】30年間の年平均利回り
S&P500の30年間の年平均利回りの計算方法は以下の通り。
・1961年〜2023年(63年間)の年利回りデータを採取
・投資開始年を1961年から1994年まで変え、30年間の年平均利回りを計算
・投資開始年を変えた各30年間年平均利回りの平均を計算
投資開始年1961年〜1994年の30年間投資利回りは以下のグラフの通り。
30年間のグラフは20年間のグラフとは違い、あまりばらつきがありません。
これらの値の平均をとると8.39%となります。
このグラフからはある傾向がわかります。
それは投資開始年が近年になればなるほど年平均利回りが高い傾向にあります。
これはS&P500指数がここ最近、リターンがよく、年平均利回りを押し上げているということです。
オルカンとS&P500の年平均利回り比較
計算結果が出揃ったのでオルカンとS&P500の年平均利回りを比較してみましょう。
比較項目 | オルカン | S&P500 |
---|---|---|
20年間年平均利回り | 6.42% | 7.95% |
20年間の最高年平均利回り | 3.7% | 3.4% |
20年間の最低年平均利回り | 9.7% | 14.6% |
30年間年平均利回り | 7.55% | 8.39% |
S&P500のほうがオルカンよりも年平均利回りがよい
前情報の通り、S&P500のほうがオルカンよりも年平均利回りがよいことがわかりました。
ただし、個人的にはもう少し差があるイメージで1%も差がないとは驚きです。
S&P500は米国集中投資になるのでオルカンよりもリスクをとった投資となります。よってリスクをとった分もう少しS&P500の利回りが大きくあってほしいものです。
これはS&P500のほうが63年間というオルカンよりも長期のデータを使っているのも影響していると考えます。
S&P500の30年間年平均利回りの計算の際にも記載しましたが、ここ最近S&P500のリターンがよいため、1960年代のデータを使わなければもう少しよい利回りになったでしょう。
ただし、オルカン(配当込み、円換算)のほうも過去のデータが少ないので正確には比較できていない点にご留意ください。
S&P500のほうがオルカンよりばらつきが大きい
20年間の年平均利回りでは大きなばらつきが見られました。
これは20年間だと少し期間が短いので投資開始年が年平均利回りに大きな影響を与えるためです。
S&P500とオルカンのばらつきを比較するとS&P500のほうがオルカンより利回りの最高最低の幅が大きく、リスク(値動き幅)が大きいことがわかりました。
年平均利回りが高いS&P500に投資するか、リスクの低いオルカンに投資するかはじっくり考えるべき問題です。
私自身はオルカンとS&P500にどちらも投資していますが、年平均利回りが高いS&P500を中心に投資しています。
オルカンの平均利回り まとめ
以上、「オルカンの平均利回り」と「S&P500との比較」をまとめました。
最後にこの記事で紹介した内容をまとめてみましょう!
- 「オルカン」はeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の略語
- オルカンの国別比率は米国が62.3%
- オルカンの年平均利回り 20年間:6.42%、30年間:7.55%
- S&P500の年平均利回り 20年間:7.95%、30年間:8.39%
- S&P500のほうがオルカンよりも年平均利回りがよい
- S&P500のほうがオルカンより年平均利回りのばらつきが大きい
20年間の最高利回り:14.6%、最低利回り:3.4%
いかがでしたでしょうか?
今回は「オルカンの年平均利回り」についての記事でした。
この記事でみなさんが投資している「オルカンの年平均利回り」を知ることができましたね。
しかし今回の年平均利回りはあくまでも過去のデータであり、将来の利回りも同じになるとは限りませんのでそこはご留意ください。
ただし、ある程度の参考となる重要なデータであることは間違いないでしょう。
この記事を読んだように自分が投資した商品の理解を深め、何があっても相場から離脱しない投資握力を高めてください。インデックス投資では相場から降りず、長期で居続けることが再現性高く勝つ唯一の方法です。
このブログではみなさんの資産形成を情報発信という形で応援しています。
ぜひお役立てください。
最後に、記事で紹介した「オルカン」に興味を持った方は新NISAを始めて間もない方もしくは新NISAを始めるか検討している方だと思います。
以下の記事でおすすめの証券会社を紹介しているので参考にしてみてくださいね。
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