2024年1月から始まった新NISAは投資枠が年間40万円から年間360万円まで、非課税の生涯上限枠は1800万円までと、非常に大きな変更となりました。
2023年までのNISAはつみたてNISAでも最長20年と期間が決まっていましたが、新NISAは期間が一生涯となり、逆に終わり方いわゆる「出口戦略」に悩まれる方がたくさんいらっしゃるかと思います。
※出口戦略:資産の売却タイミングや売却方法
前半では新NISAの終わり方を解説し、後半では老後資金の具体的な売却手法を解説します。
ネットを見てみると新NISAの出口戦略についてまとめている記事がなかったので出口戦略に悩まれている方には参考になる記事になってます。
この記事で紹介する考え方と具体的な売却方法を学べば、不安なく新NISAをはじめられますよ。
私は2019年からNISAを取り組み、
現在、1000万以上の投資を行っています。
今回は新NISAの終わり方について考察します。
新NISAの終わり方(売却タイミング)
投資界隈の話を聞いたり、書籍を読んだりした私なりの結論は以下の通り。
結論:新NISAの終わり方(売却タイミング)は資産形成の目的が目の前に来た時
新NISAをはじめるにあたって、あなたはなにか目的を持って新NISAを始めた、もしくは始めようとしていると思います。
その目的のために新NISAを売却するのが「終わりなき新NISA」の終わり方(売却タイミング)だと考えます。
当たり前っちゃ、当たり前ですが、、、、
では、具体的に資産形成の目的にはどういうものがあるかというと大体この3つかなと思います。
・子供の教育資金
・何かあった時の備え
・老後資金
子供の教育資金
これは子供がいる人なら誰しもが考える資産形成の目的となります。私もその一人です。
新NISAをはじめた目的が子供の教育資金の場合、終わり方(売却タイミング)は単純で、教育資金が必要になったタイミングで必要分を売却するということです。
資金が必要な時期は子供の年齢によって決まってくると思いますし、ずらせないものだと思いますが、たとえ相場が少し悪い状況であったとしても、資産を売却し目的を達成することが1番です。
注意としては利益が出ている順に売るようにしてください。
新NISAはあくまでも利益に対する税金が免除になる制度なので損がでている商品を売ったらNISAの意味がありません。
幼稚園から高校までの総額:全て私立で1838万5千円、全て公立で574万4千円
大学:国公立で約250万円、私立文系で約440万円、私立理系で約600万円
すべて私立に入れると最大で約2400万円かかる!
参照:令和3年度子供の学習日調査|文部科学省
参照:国公立大学などの授業料その他の費用に関する省令|e-GOV 法令検索
参照:私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について|文部科学省
この教育資金についてはぜひ新NISAを活用してつくりましょう!
何かあった時の備え
これは天災や事故、病気などの備えとしての資金です。
これも教育資金と一緒で万が一起こってしまい、お金が必要になったタイミングで新NISA枠を売却するのがベストです。
新NISAで運用しておいたおかげで何かあった時のお金の心配はなくなります。
老後資金
老後資金というのが新NISAを始める人の大半の目的なのではないでしょうか。
老後は基本的に給与収入がなくなり、年金収入のみとなる人が大半なので、豊かな老後を送るためにある程度の資産が必要になります。
老後資金については「老後2000万円問題」と騒がれていましたが今は一体いくら必要なのでしょうか?
2019年ごろ騒がれた問題であり、発端は総務省が毎年報告する「家計調査」のデータです。
2000万円の算出方法は無職高齢者世帯の毎月の実収入と実支出を比較し、毎月○円足りていない、30年間ではどうだろう?といった計算でした。
●2017年のデータ
実収入:約20万9000円
実支出:約26万4000円
=毎月約5.5万円不足
30年間積み上げると約1980万程度不足すると算出された。
上記計算から老後は2000万円不足するとして騒がれました。
最新のデータはどうなっているの?
そう思うよね?最新の2023年のデータを見てみましょう!
あれれ?
●2023年のデータ
実収入:約24万6000円
実支出:約26万8000円
=毎月約2.2万円不足
30年間積み上げると約800万程度不足すると算出された。
→2000万円問題は800万円問題になった!?
毎年のデータによって結構変わるみたいですが、2022年も2023年も約800万円不足するという結果なのであまり悲観的にならないでいいかもです。
データはデータとして豊かの老後を送るためには老後資金をある程度は増やしておく必要があるでしょう。
私個人としては少なくとも豊かすぎる老後を送りたいので3000万程度は欲しいと思っています。
老後資金を形成するため、一緒に新NISAを頑張っていきましょう!
【老後資金】出口戦略を考えると投資信託とETF(配当あり)はどっちがいい?
新NISAの人気ランキングを見ると全世界株式やS&P500インデックスファンドに連動する投資信託が上位となっていますが皆さんは出口戦略をきちんとたてているでしょうか。
資産形成の目的が老後資金の場合、何も考えずに配当がでて、老後の生活資金に充てやすい配当ありのETFの方がよいのでは?と考え、投資先を、迷っている方がいると思います。実は私も迷っていました。
新NISAとの相性は投資信託の方がよい
結論:新NISAとの相性は配当金がない投資信託の方が良い。
相性がよいとされる理由2つは以下の通り。
- 自動再投資なので新NISA枠を消費しない。
- 100円単位から購入可能で新NISA枠をきっちり埋められる。
1. 自動再投資なので新NISA枠を消費しない。
投資信託というものは配当金(正確には分配金)がでないですが、実は自動的に再投資されているのです。
ETFを保有すると分配金がもらえます。
この分配金はNISAで非課税となるので分配金を生活費に充てるならいいですが余ったからといって再投資しようとするとその分配金の分、新NISA枠を消費してしまうのです。
具体例をみていきましょう。
以上のように投資信託の方が新NISA枠を消費せず、効率的に資産を増やすことができます。
100円単位から購入可能で新NISA枠をきっちり埋められる
投資信託は100円単位から購入可能であるため、新NISA枠をきっちり埋められます。
一方、ETFは1株、数万円単位の購入となるので新NISA枠が中途半端に余る必要があります。
例えば
S&P500インデックスファンドに連動するETFのVOOの株価は現在:$457.76=¥68,360
このVOOを新NISAの成長投資枠(240万円/年)で買おうとすると、¥2,392,600で35株買えるが、
余り¥7,400と成長投資枠の240万円が使いきれなくなる。
せっかくの新NISA枠を使いきれないと機会損失になります。
新NISAの相性は100円単位で購入でき、きっちり枠を埋められる投資信託のほうが良いと言えるでしょう。
おすすめは投資信託を4%ルールで取り崩す
新NISAの売却方法としておすすめしたいのが投資界隈では有名な「4%ルール」です。
投資信託を4%ルールで取り崩すことで資産を枯渇することなく、穏やかな老後をすごせるでしょう。
4%ルールとは
4%ルールとはインデックス投資における資産の取り崩し方の1つです。
「4%ルール」といっても2つの方法があります。
定額売却:退職時の資産×4%を毎年、定額で取り崩す
「退職時の資産×4%を毎年、定額で取り崩す」という4%ルールはアメリカのトリニティ大学の教授らが1988年に発表した「トリニティスタディ」という研究の中で書かれています。
この4%ルールで資産を取り崩すと30年経っても95%の確率で資産が残っていることがわかった。
・対象期間:1926〜1955年の70年間
・S&P500インデックス:50%、高格付け債券:50%のポートフォリオ
・インフレ率1-1.5%を考慮
・30年後に資産が残っている確率は95%
・平均で資産が5倍になっていた。
(参照:Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable)
30年で成功確率が95%と想像している以上に資産が長持ちしますね。
60歳で取り崩すと90歳まではとりあえず大丈夫でしょうか。
具体的な例で考えてみましょう。
具体例
【退職時の資産が3000万円の場合】
・取り崩し方法:4%ルール(定額売却)
・年間取り崩し額:3000万円×4%=120万円
(結果)
・60歳で退職した場合、90歳まで資産が残っている確率は95%
・資産が平均で1億2000万円になっていた。
上の結果、ものすごいですね。120万円毎年取り崩しているのに資産が1億2000万になるという結果になりました。
でも研究データが古すぎると思った方もいると思います。実は「トリニティスタディ」は何度も改訂されており、最新のものは2018年のものになります。
・対象期間:1926〜2017年の90年間
・S&P500インデックス:50%、高格付け債券:50%のポートフォリオ
・インフレ率を考慮
・30年後に資産が残っている確率は100%、35年では97%
上記概要はThe Trinity Study And Portfolio Success Rates (Updated To 2018)を参照しました。株式と債券の割合によって結果が変わってくるので気になる人は参照先を見てみてくださいね。
最新の結果では30年後に資産が残っている確率は100%になりました。トリニティスタディは歴史が古く、信頼できるデータなので4%ルール(定額売却)は心配なくできる老後のNISA出口戦略ではないかと思います。
定率売却:毎年の資産残高×4%を定率で取り崩す
定率売却の4%ルールについてはインデックス投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中で紹介されています。
この方法については著者のバートン・マルキール氏が過去の膨大なデータから算出したもので著者曰く、100歳まで生きたとしても資金が枯渇する心配はまずないとのこと。
・株式:50%、債券:50%のポートフォリオ
・インフレ率1.5%を考慮
・株式は年平均7%、債券は年平均4%から年平均5.5%のリターンを想定
注意としてはインフレ率が1.5%超となる場合はその分だけ取り崩し率を引き下げる必要があるとのこと。
インフレ率が2%なら3.5%ルールとなる。
具体例をみてみましょう。
具体例
【退職時の資産が3000万円の場合】
・取り崩し方法:4%ルール(定率売却)
・1年目取り崩し額:3000万円×4%=120万円
・2年目取り崩し額:(3000万円ー120万円)×5.5%×4%=121.54万円
・3年目取り崩し額:(3038.4万円-121.54万円)×5.5%×4%=123.1万円
・定率売却はリターンが年率5.5%で取り崩し率の4%より高いため、リターンが+であれば取り崩し額が年々増えることとなる。
ただし大暴落の年は取り崩し率がかなり減るので注意が必要。
例えば3年目で大暴落-50%が起こった場合、
4年目の取り崩し額:(3077.3万円-123.1万円)×ー50%×4%=59.1万円
たしかに定率売却であればリターンが悪ければ取り崩し額は減るので、資産が枯渇しなさそうですね。
定期売却サービスで選ぶ
これまで、NISAの出口戦略として「4%ルール」を紹介しましたが、4%ルールを手動ではなく、自動でやってくれるサービスがあります。
それが「定期売却サービス」です。
「定期売却サービス」を使用して新NISAで購入した投資信託を4%ルールに従い自動で売却しましょう。
現状、このサービスは楽天証券とSBI証券
で取り扱ってます。
また楽天証券のみ定率での取り崩しサービスがあります。
定率の4%ルールに魅力を感じる方は楽天証券でNISA口座開設するのがおすすめです。
定額 | 定率 | |
楽天証券 | ○ | ○ |
SBI証券 | ○ | × |
新NISAの出口戦略まとめ
以上、新NISAの終わり方と老後資金の具体的な売却方法をまとめました。
最後にこの記事で紹介した内容をまとめてみましょう!
- 新NISAの終わり方(売却タイミング)は資産形成の目的が目の前に来た時
- 出口戦略を考えると新NISAの投資先は投資信託とETF(配当あり)どっち?
→新NISAとの相性は投資信託の方がよい。 - 老後資金は「4%ルール」に従い、取り崩しを行うこと
アメリカの研究によると30年後に資産が残っている確率は100%、35年では97% - 投資信託の取り崩しには「定期売却サービス」が便利
新NISAは投資目的と出口戦略まで考えて投資先を選びしょう!
個人的には投資目的が老後資金の場合、投資信託でインデックスファンドを淡々と積み立てて、
老後に定期売却サービスを使って4%ルールで取り崩すのが王道でいい選択だと思います。
その方が効率的に資産形成が進むと思います。
まだ新NISAを始めていない方、または新NISAをもう始めたけど記事で紹介した「定期売却サービス」のある楽天証券とSBI証券に興味を持った方は以下の記事でこの2社を含めたおすすめの証券会社を紹介しているので参考にしてみてくださいね。
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